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【借金体験談】島根県 20代前半男性 hwtrさん
パチンコでたくさんの釘が打ち込まれたパネル上を銀色の玉が流れ落ちていく様子を見ると、この上なく落ち着きます。大学3年生のころ初めて立ち寄ったパチンコ店で、先輩に言われるがまま台に座りました。当時は面白さなど微塵も感じなかったはずなのですが、暇さえあればパチンコを楽しむようになっていきます。
大学には2度も留年してしまい、現在の私の学歴は高卒です。パチンコに夢中になりすぎたせいで単位を落とし続け、ついには両親が学費を出してくれなくなったのです。自分で働きながら大学を卒業する気も起こらず、日雇いバイトで生計を立てる毎日が続きました。最初はやりくりしながらパチンコを楽しんでいましたが、最近では働くことすらも億劫になりつつあります。
借金してもパチンコのことが頭から離れない
23歳になった今、数日前に借金を経験しました。無職の状態でもパチンコのことが頭から離れず、しばしば両親から小遣いを恵んでもらう毎日でした。たった数千円では当たりが出るはずもなく、いつもイライラしながら生活していたと思います。そんなとき、ネット上でパチンコの攻略動画を見つけました。丁寧に解説されていたので、この方法に従えば私でも大当たりが出せると確信します。すぐさま両親にお金を出してもらうように頼みましたが、彼らは私に就職しろと言うばかりです。
役に立たない相手の前で怒るということはエネルギーを無駄にすることを意味するので、冷静になって外へ出ました。向かった先は、自営業ながらアルバイトを4人も雇い入れている友人の自宅です。年収700万円台を維持している彼なら、パチンコ代ぐらいは恵んでくれるだろうと思ったのです。
友人に嘘をついて30万円借金
攻略動画によると、おおよそ20万円もの資金があれば成功しやすいとのことでした。とすると、私は最低でも20万円の借金をしなければなりません。3年ぶりの散髪を済ませてからスーツを着用し、コンビニで千円ほどのお菓子を持って彼の自宅に行きました。無職であることを正直に伝えた上で、就職活動に成功したけれども引越し費用が足りなくて困っているという嘘をつきました。
少なくとも20万円は必要だと打ち明けると、友人は目の前の机の引き出しから一枚のコピー用紙と朱肉を取り出します。お金を貸すのは良いけれども、借用書を作る必要があると友人は言いました。無職の私でも借金があれば真面目に働くようになるだろうと思ったので、二つ返事で了承したのです。人生初の拇印を押して借用書を完成させました。その数秒後には、私の目の前に30万円が置かれたのです。
涙を流す演技をしながらジャンクフードによって肥えた右手で札束を掴み、真新しいビジネスバッグに入れました。スーツ姿のままパチンコ店へ向かった私は、先ほど借りた30万円で勝負に出ました。何十回も繰り返し観た攻略動画の内容は、解説者の言葉を全て暗唱できるほど覚えていました。何も恐れることはないと思いながら、一万円札を次々と機械に入れていきます。
借用書には1日でも滞納すれば、少額訴訟を起こすと記載されていた・・・
ところが、いつまで経っても当たりが来ません。ビジネスバッグの中を見ると、札束ではなく単なる札が一枚だけ入っていることに気が付きます。根拠はありませんが、最後の一万円札を使えば大当たりが出るようなビジョンが見えました。しかし、結果は散々なものでした。
借金の返済期限2日前、私は脂汗を出しながら借用書を眺めていました。1日でも滞納すれば、少額訴訟を起こす旨が記載されていたのです。慌てて両親に事情を話すと、知らん顔されました。機転を利かせた私は、両親の財産も差し押さえられる可能性が高いなどと嘘をつきました。すると、顔が青ざめた父は大慌てで金庫を開けて私に30万円を手渡したのです。それを片手に友人の自宅へ向かい、難を逃れられました。