家族にばれずに債務整理出来るのか?
「借金を全額返す見込みがない。でも、家族に内緒にしている借金がばれてしまうのは絶対に避けたい…」
誰でもお金の問題は親しい人にほど知られたくないものです。借金減額のための手続きである債務整理の場合は法律的な解決方法になるので、なおさら「まわりには絶対に知られたくない」と考えている人も多い様です。
債務整理には大きく分けて「任意整理」、「個人再生」、「自己破産」の3つの方法があります。家族や親族にばれてしまう可能性が高いかどうか?はこのうちどの方法を選択するかによって変わってきます。ここではそれぞれの債務整理方法と家族にばれてしまう可能性について解説させていただきます。
任意整理の場合、家族にばれてしまう可能性は低い
まず任意整理ですが、任意整理は会社や知人にばれる可能性は非常に低いです。絶対にばれないという事はありませんが、ばれにくいと言えます。債務整理の中で、裁判所を通さない債務整理が任意整理です。任意整理は、裁判所を通すことなく債権者側と直接的に交渉を行います。
自宅などに連絡をされることもないため、任意整理を行うことによって家族に借金の存在がばれてしまう可能性は低いと言えるでしょう。また、家族に借金がばれてしまうのは、返済を滞納して自宅などに借金の督促状が届く様なケースがほとんどです。
任意整理を専門家に依頼した場合、専門家と正式に委任契約を結んだ時点で「受任通知」が専門家から債権者に対して送付されます。受任通知が行われた時点で金融機関からの督促は即時ストップしますので、自宅に督促がいってしまう危険性を回避することができます。
受任通知というのは「この人は専門家に依頼して債務整理の手続きを開始したので、以降の連絡は専門家を通して行ってください」という通知のことです。法律上、受任通知を受けた金融機関は債務者本人に対しての督促をストップしなくてはならないとされています。任意整理は弁護士や司法書士などの専門家に依頼をすれば手続きはすべて代行してもらうことが可能です。
債務整理で必要な書類
任意整理は債権者と弁護士(司法書士)が和解交渉を行う事により成立します。では、この和解交渉はどのようにして行われるのでしょうか。まず、あなたが弁護士(司法書士)に相談したとします。あなたの債務状況と収入面の色々な面から、あなたにとって最適な債務整理方法を弁護士(司法書士)が検討します。そして、その判断が任意整理となった時に提出が必要な資料が、
・預金通帳(過去2年分)
・源泉徴収書(過去2年分)
・住民票
の3点です。言い換えてみれば、任意整理を行う上でこれ以上の資料提出はありません。弁護士(司法書士)によっては、あなたの生活状況を見るため、家計簿を付けさせる人もいます。しかし、基本的にはあなたが普段持っている資料で任意整理の申請が行えるのです。個人再生や自己破産では、その他に
・生命保険等の解約戻金証明書類(保険業者から発行された証明書)
・買い物などのレシート、領収書の提出
・個人再生を申請するための意見供述書
更には場合によって、車を売る必要も出てきます。ここまで来ると、あなたが既婚者の場合は、家族の協力なくしては行えません。会社や他人にはばれなくても、家族にはばれます。
ただ、任意整理の場合、多くの債権者はこの和解交渉に応じると考えられます。その理由は、早く決着をつけなければ損をするからです。任意整理の場合は、利息分のみをカットし、元金を分割して債権者に返金する手段です。つまり、債権者は利益を得られなくても、損をする事はないという債務整理の方法です。
しかし、個人再生や自己破産は、借金自体を法的に減額、あるいは無くしてしまうため、債権者は損をします。もし、この任意整理で合意しなければ、債務者が個人再生や自己破産といった手段を取ってくる可能性があり、その場合は損をする事になります。
そのため、任意整理で和解に合意する債権者が多いのです。債権者の中で、最も交渉が難航する相手は、借金総額が一番多い債権者です。ここは、なかなか和解に合意しない場合があります。更に、あなたの勤めている会社が世間一般的に優良な会社である場合は、給料の差押えを行う手段に出る事もあります。この場合は、会社にばれてしまうという可能性があります。こういう時に、弁護士(司法書士)が役に立ちます。給料差押えの前に、次の提案を債権者に投げかけ、和解交渉を進めてくれるのです。全ての和解交渉が弁護士の意のままにならない時は、債権者側の言い分を受け、解決案をあなたと一緒に検討してくれます。
任意整理はこれまでのお話しの通り、ばれる可能性はありますが、その可能性は低く、ばれにくい債務整理の手段となります。ただ、任意整理をする事であなたがこれまで持っていたクレジットカードなどが使えなくなる事になります。そのため、普段の生活の中で、多少不備が発生します。これまで仲間と一緒に行って、カード等で支払いをしていた人はその手段が使えなくなります。それを見た仲間が不思議に思い、任意整理がばれてしまうといったケースもあります。
実際に、現金のみの生活を強いられる事になりますので、生活面では少し心配になる部分が発生してきます。すべてが現金生活の場合、色々な面で不備が発生する事がありますが、その点はあなたの工夫が必要となります。
裁判所を通す手続きでは、家族にばれてしまう可能性も
任意整理と違い、個人再生や自己破産は裁判所を通した手続きになります。これらの手続きを行えば元本の減額や免除を認めてもらえるという大きなメリットがある分、手続きも厳格になります。裁判所では個人再生や自己破産を申し立てた人に「本当に借金の減額を認めてあげる必要があるのかどうか?」が具体的に審査されることになります。
同居の親族がいるような場合にはその人の財産や収入の状況もチェックされることになります。同居の親族には法律上お互いを扶助する義務があるため、例えば夫は収入が少なく借金を返せる見込みがない場合でも、妻に多額の財産がある様な場合には個人再生や自己破産が認めらえないこともありえます。
結果として、個人再生や自己破産では家族に借金の存在や債務整理を行おうとしていることがバレてしまう可能性も高くなります。
家族にばれずに自己破産することもできる?
自己破産の場合、現在所有している財産についてはすべて換金して債権者側に分配する必要があります。そのため、マイホームに家族と住んでいる様な場合にはそのマイホームからは立ち退く必要があります。(自動車などの所有物についても同様です)
また、自己破産を行うと20万円を超える銀行預金や、100万円を超える現金についても裁判所に引き渡さなくてはならなくなります。結果として、自己破産を行うと必然的に家族にもバレてしまう可能性が高くなるでしょう。財産を手放すことなく借金減額を認めてらもう方法としては個人再生や任意整理があります。
「現在マイホームに住んでいるけれど、家族にばれずに債務整理を利用したい」という人の場合は任意整理や個人再生を選択するのが適切といえます。
保証人についてもらっている借金に注意
注意が必要なのが、保証人になってもらっている借金がある場合です。奨学金などについても保証人が設定されていることが普通なので心当たりのある方は注意してください。保証人がついている借金について債務整理を行うと、手続き完了後はその保証人に対して債権者側から督促がいってしまうのです。
任意整理の場合には「どの借金を整理するか」を選択することが可能なので、「保証人がいる借金Aについては整理しないけれど、それ以外の借金については整理する」という形をとることあも可能です。
ですが、裁判所を通した手続きである個人再生や自己破産の場合についてはすべての借金について整理手続きを行う必要があります。この場合は、結果として保証人に対して請求が入ってしまう可能性が高くなるので注意が必要です。
家族にばれずに債務整理出来るのか?まとめ
今回は債務整理を行ったことが家族にばれない様にするにはどうしたらよいか?について解説させていただきました。少しでも家族にばれてしまう可能性を低くしたいという場合には裁判所を通さない手続き方法である任意整理を選択しましょう。「どの債務整理方法を選択するべきか?」はあなたがどのようなニーズを持っているかによって結論が変わってきます。
「家族には絶対にばれたくない」などの事情がある場合には慎重に手続きを進めていく必要があります。実際に債務整理を行う時には司法書士や弁護士などの法律の専門家からアドバイスを受ける様にしましょう。