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【借金体験談】兵庫県 60代前半男性 writeuseさん

現在60歳になる住宅設備とリフォーム業を営む男性です。まさかこの歳になって借金取りに追いかけまわされるとは夢にも思いませんでした。私の場合、社長とは名ばかりでいわば一人親方と世間では言われる、小さな仕事は自分一人で行い、大きな工事が入るとこれまで付き合ってきた職人さんに声を掛け、日当を払う、そんな仕事のやり方でした。小さいながらさすがに40年以上もこの仕事をしていると、営業などに回る事なくこれまで懇意にしてくれていたお客さんが声を掛けてくれ、それで十分食っていけました。

2年前の今頃、ちょうど夏に差し掛かる頃の出来事でした。ずいぶん以前にエアコンを設置した工場の社長からです。そろそろエアコンが古くなってきたので、一斉に全部取り替えてほしいとの電話でした。こりゃ、大きな仕事が入って来た、と私は電話を切って小躍りしました。たしか、あの工場に取り付けた業務用エアコンの数は20台はくだらなかったからです。倉庫に行って古い資料を探しましたが、さすがに20年以上前の資料は処分した様で残ってはいません。

工事の金額は3200万円

その社長はかなり急いでいるとの事でしたので、メーカーに現在の業務用エアコンの性能と販売価格、卸値を確認し折り返しその社長に電話を掛けました。矢継ぎ早に下見の日にちを決め、当日、懐かしい顔の社長が工場の前で待ってくれていました。「とりあえず急いでくれんか」と言う社長にひとしきり現在のエアコンの性能やいかに省エネ効果が高くなっているかなど、メーカーの受け売りを説明しようとしたのですが、そんな事はどうでもいいから早くやってくれと、私を急かします。

確かこの社長、以前はとてもおっとりした印象だったのにえらくせっかちになったもんだ。年のせいかなあ、その時はそんな程度の気持ちでした。そして見積もりが出来、改めて社長に持って行きました。金額は工事費込みで3200万円。かなり大きな工場ですから、すべて入れ替えとなるととても高額になってしまいます。

普段なら断る条件だったのに欲にかられた

私は見積もりを眺める社長におそるおそる聞いたものです。やっぱり高いですかねえ、と。ところが社長は顔色ひとつ変えず、よし、これで行こう、来週、工事に入れるか?と言います。私はよっしゃと思いました。利益は500万円ほど。これはいわゆるオイシイ仕事です。商談成立とほっとしてお茶をいただいていると、社長が言います。「全額現金でいいか?工事終了3日後に銀行振り込みではなくキャッシュで払う」と言います。

普段なら絶対お断りの条件です。最低でも1/3は手付としてこれまでどんなお客さんでもいただいていましたから。しかし、ここで、私は500万円の欲にかられてしまったのです。とっさに、けっこうですよ。と答えてしまいました。そして工事まで、職人の手配やエアコンの発注など忙しい準備にかられ、いざ本番。トラックで次々と運ばれてくるエアコンが職人の手によって猛スピードで入れ替えられて行きます。何しろ工事は2日間ですから、みんな必死でした。

取り付けたはずのエアコンが無い!売り上げがそのまま借金に

そして工場にすべてまっさらのエアコンが並んだ時は、すこし胸が熱くなってしまいました。社長も大喜びで、私に握手を求め、それでは水曜日に現金を取りに来てくれと言い、また工場に戻って行きました。そして約束の水曜日の朝10時。現金をそのまま受け取るのですから、職人の中で一番屈強な者を連れて工場の前に立つと、大きな工場の開き戸が封印されているのです。鍵も掛かっています。社長にその場で電話を掛けましたが出ません。その時、職人が私に叫びました。「社長、取り付けたエアコン、全部ありません!」私はその場にしゃがみこみました。

一瞬にして私の利益だったはずの500万円から売り上げのはずの3200万円をひいて2700万円のマイナスとなってしまったわけです。そして月末、メーカーの支払い、職人の支払い、その他もろもろの支払いがやってきました。手元には貯金が500万円程度。銀行がそんな急に貸してくれるはずはありません。

借金地獄に・・・これからは返済だけの人生

結局、10軒ほどのかなり怪しい金融に事情を説明し家を担保に借りやりくりをしました。そこからは借金地獄です。利子を返すだけで精いっぱいの生活。このままどこかへ逃げようかと思ったものの、仕事をしなくては食ってはいけない。これからの私の人生はただ借金を返すだけの人生となるのでしょう。