多重債務者が経験する事の一つに、借入金額が多くなってくると借金が全然減らないという事です。返済しても返済しても、一向に借金が減らないのは当然と言えば当然なのです。この借金が減らない理由と、これを解決するための手段についてお話しします。

なぜ借金残額が減らないのか?

基本的に借入が多いところは、月々の利息も多くなる事は理解できると思います。例えば、仮にα社から金利18%で100万円を借りている場合と、β社から金利18%で25万円借りている場合を比較してみます。そうすると、利息は次のようになります。

α社の月々の利息:【元金】100万円×【金利】0.18÷12(ヶ月)= 15,000円
β社の月々の利息:【元金】25万円×【金利】0.18÷12(ヶ月)= 3,750円

元金が多くなれば多くなるほど、利息金は高額になります。α社の場合は、15,000円が利息になります。これに対して、月々の返済額は恐らく3万円程度になるでしょう。3万円返済して、1.5万円利息に取られた場合、元金は1.5万円。次の月の元金は、100万円-1.5万円=98.5万円となります。この98.5万円が、また同じ計算で利息分が計算され、次月の返済金額が決定します。つまり、元金に充当される費用が少ないために、借金が減っていかないのです。

この計算で返済を行っていくと、完済するまでに約8年かかります。一方で、β社の様な状況の場合、返済金額は8,000円程度になるでしょう。8,000円-3,750円=4,250円が元金に充当されるため、元金の減りが速くなります。それでも5年程度の返済期間が発生する事になります。この様に、多くの金融業者が採用しているリボルビング返済方式は、一見月々の返済が楽なように見えますが、借入金額が多額になればなるほど、借金が減らないという現象が起こります。

債務整理を進める理由

借金が減らないと少しでも感じているのであれば、それは債務整理を行うサインでもあります。前述の通り、多額の借金を返済するには何年もかかる事になりますし、利息分を含めた支払い金額が膨大な金額になります。債務整理を行うと、これから発生する利息は付かず、今ある借金総額を元金として、3年で完済する事になります。利息を含めた多額の借金を数年もかけて返済するよりは、債務整理をして3年で返済を終え、5~10年ほどの借入が出来ない状況になる方がよほど経済的・精神的にも余裕が出てくるはずです。借金の理由は人により色々あります。ですが、どんな理由であれ、今借金が膨れ上がり、首が回らない状態から抜け出すためには、債務整理をする事が一番です。

こんな人は債務整理をすべき

・3社以上に渡り借金をしていて、借りては返す事を繰り返している人
・2社から借金をしていて、まだまだ返済が出来るから大丈夫だと思っている人
・インターネットで、少しでも融資してくれそうなところを探している人

3社以上から借入をしていて、借りては返す事を繰り返している人は、既に自転車操業に陥っていると言えます。自力での返済能力は無くなっている状態です。この様な人は、今の状態を続けていても何の解決にもなりません。それどころか、これからどんどんと深みに嵌って行く可能性が高い方です。

それから、2社から借金をしているが、まだ限度額に到達していないから大丈夫と思っている人。この様な人も、実はもう既に借金時地獄に陥っていると認識しましょう。借入が2社ある時点で、既に50万円~100万円程度の借入金額になっているのではないでしょうか?ボーナスなどで一括返済出来る様な目論見があるならともかく、返済見込みがないのであれば早めに債務整理に踏み切るべきです。

最後に、大手消費者金融や銀行から融資を断られ、インターネットで融資してくれそうなところを探している人。この様な人は、かなり危険な状態です。闇金に手を出してしまい、更に苦しい生活を味わう事になります。インターネットで掲載されている甘い誘惑に絶対に手を出さないで下さい。インターネット上の融資業者は9割が闇金と思って下さい。貸金業法では総量規制以上で借入は出来ないですし、ブラックでも融資可能という会社は、基本的にありません。お金が無くて、切羽詰まった人をカモにするのが、闇金なのです。闇金に手を出すと、一生そこから抜け出す事が出来ません。くどい様ですが、甘い誘惑には絶対に手を出さないようにして下さい。

債務整理をしたらどうなるか

債務整理をしたらどうなるの?疑問に思う人もいるでしょう。必要最低限な生活を強いられ、惨めな思いをしながら生活をしていかなければならない・・・そう考えている人は大きな間違いです。債務整理をしても、今の生活から大きく変わる訳ではありません。債務整理は、あなたを無理な生活から抜け出せるように弁護士や司法書士が段取りをした上で、あなたの収入から無理の無い返済計画を立てる事になります。

そのため、基本的にあなたの収入は返済に充てる金額以外は自由に使える事が出来るのです。旅行にだって普通に行けますし、欲しいものだって買えます。生活が激変する様な事はありません。しかし、自己破産だけは今の生活通りには行きません。所持している高価なものはすべて換価しなければならなくなり、持家の場合は家を手放さなければなりません。そういう意味では、生活に変化が発生します。

債務整理をしてやや不便になる事は、現金主義の生活にならなければならないという事です。基本的に債務整理後は、クレジットカードやローンが一定期間(5~10年)組む事が出来ません。そのため、カードを利用する機会が多い人は、少々生活が変わってしまいます。

後の事は後で考える。今の借金を何とかする事を優先して考えよう

後の生活を危惧し、債務整理をためらっているのであれば、それは大きな間違いです。今の状況を解決しなければ、後の生活もありません。現金主義の生活も、慣れてしまえば何の事はありません。借金地獄から抜け出すには、まずは今の状況を解決するために動く事を最優先しましょう。それには、債務整理という手段があります。弁護士や司法書士に、まずは気楽に相談してみてはいかがでしょうか。

借金を返済しても過払金請求で払い過ぎた利息を取り返せる

さて、これを読まれている方で、もしこの借金返済という苦しい局面を乗り越え、無事完済したという人がいれば、過払い金請求を行ってみましょう。過払い金は、払い過ぎた利息を取り返せる手段です。2006年よりも以前から、消費者金融にお世話になっている人で、完済されている人であれば、この過払金が発生している可能性がかなりあります。但し、この過払金の時効は、発生してから10年までです。つまり、2016年には時効を迎え、請求する事が出来なくなります。そうなる前に、まずは司法書士や弁護士へ相談する事をお勧めします。

以上の様に、借金というものは簡単に減るものではない事がお分かり頂けたかと思います。その額が大きくなればなるほど、借金は返済できないものになります。正直、100万円程度の借金になってしまった人は、その借金返済には4年以上かかります。そんな長い期間、返済するだけの根気がありますか?それよりも、債務整理を行い現状の借金総額を減らした上で借金を返済し、健全な生活に戻す事を考えましょう。借金生活は引きずっていても何の解決にもなりません。あなたの決断が早ければ早いほど、今後の人生が有意義になる時期も早くなります。